フランスで挙げた勝利は、そうした気持ちと努力、すべてが実を結び、もたらされたもの。いや、久常自身が自分の手でつかみ取ったものだった。
マイクを向けられた久常が口にした英語はまだまだ流暢ではなかったものの、欧州1年目とは思えないほどのスピード上達ぶりには、これまた驚かされた。
この優勝で久常はDPワールドツアーのポイントランキングであるレース・トゥ・ドバイで11位にジャンプアップした。トップ10入りすれば、来年のPGAツアー出場権が手に入る。
「野望はあるか?」聞くまでもないだろう。いつだって久常は「チャンスはつかみたい」と思い、虎視眈々と好機を狙っているはずである。
1年前の悔し涙をスピーディーにうれし涙に変えた久常が、次は何をやってくれるのか。
「日本に帰るけど、ビジネスクラスにしちゃおうかな」
昨年まで日本ツアーで戦っていた久常涼(21歳)が、フランスの難コース、ル・ゴルフナショナルで開催されたDPワールドツアーの大会、「カズーオープン・ド・フランス」(9月21~24日)を制し、初優勝を挙げた。